祭りのあと

「私は遅番で、昼ごろから夜の九時迄WSJにいました。終業が九時なので、それから作業着を私服に着替えて、自宅に帰ったのは多分、十時近かったと思います。いつもの時間です。それから、お風呂に入って、軽く夜食を食べて、寝たのは、多分、十二時近かったと思います。いつも見ている夜のニュースが、終わったころだったんで。寝ついたころに、警察から電話があって」
「お姑さんが寝ていることは確認しましたか?」
「玄関でただいまと言って二階のお母さんの部屋からテレビの音が聞こえたので休んだんだろうと思って。夜は顔を直接合わせていません」
「お姑さんの方は、奥さんが帰宅したのを確認しましたか?」
「ええ、『ただいま』というのを、ベッドの中で聞きました」
 南條が小さく唸った。
「規子のアリバイが成立すれば奈津子の首を絞めたのは誰だ?尊広が殺害されてるとすれば誰が殺したんだ?」
と自問自答しながら南條はその小部屋を出て廊下で携帯電話で大阪の小関を呼び出した。
「南條です。昨日はお世話になりました。長田規子のさきおとといと、おとといのアリバイの裏は取れてんですか」
「規子ですね。午前中に裏はとってあります。規子の方は両日とも遅番で、正午から午後九時迄出勤しています。出勤簿で確認し、上司と同僚の証言を得ています。姑の方は誰とも接触していないようで、アリバイの裏は取れてません」
と言う小関の声の背後に交通の雑音が入る。土岐が迷子のようにきょろきょろしながら小部屋から出てきた。
「終わるみたいです」
と言われて南條は携帯電話を切りながら隠れることを考えた。とっさに思いついて、
「ちょっと、トイレに行こう」
 トイレに入ると南條は取調室の高橋を携帯電話で呼び出した。
「そこのお二人さんのこれからの予定は?」
「一旦終わることにしました。これから証言の裏を取るんですが病院に寄って遺体を引き取ってそのまま火葬場に連れて行く予定です。火葬場は町屋を希望しているんで、どこかで昼を食べて3時迄にはワンボックスカーで町屋に行く予定です。その近くに親戚がいるようです」
「長田尊広の親戚?」
「長田浪江のいとこのようです」
 その会話を聞きながら土岐は小用をたしていた。
「奈津子の首を絞めたのはどっちなんですかね」
と隣にやってきた南條に話しかけた。
「これから調べよう。先に町屋の火葬場に行って駅前でメシを食おう」