と言われて土岐は二人の女の手元を注視した。南條の言った通り、浪江は右手で煙草を揉み消し、その右手で茶碗をとって、左手を添えて、お茶を飲んだ。規子は左手で茶碗を取った。そのとき、南條の右手が、土岐の背中を強くたたいた。
「永山奈津子の首を絞めたのは規子だ。規子の親指の形と奈津子の喉元の鬱血の形状が多分一致するはずだ。あとは、動機だ」
「浮気ですか」
「そうかも知れん。既に、語るに落ちてはいるがな。ろくに愛してはいなくても、浮気されると憎悪がつのる。女のコケン」
高橋はお茶を啜りながら取調べを続ける。
「お二人は永山奈津子と面識はないんですか」
「ありません」
と規子が二人を代表するように否定した。
「では、ご主人の浮気はどうして分かったんですか?」
「あの人はトイレで用を足すのと同じで女がいないと眠れないタチなんです。でも商売女は嫌いなので外泊すれば浮気以外にはないんです」
「じゃあ、その浮気の相手がなんで永山奈津子と分かるんです?」
「だって、一緒に生活していたんでしょ」
「じゃ、そのことは知っていたんですか?」
「ええ、なんとなく」
「それはおかしい。さっき永山奈津子とは面識がないと言ったでしょ。面識がないのに旦那が奈津子と同棲してたと何で分かるんですか?」
「それは大阪の刑事さんに言われてそうじゃないかと」
と規子は言葉に詰まる。浪江の顔を見る。浪江は疲れからか項垂れている。ふて腐れているようにも見える。灰皿の煙草が消えきらずに煙を上げている。高橋も小林もひと仕事終えたように肩を落とし沈黙を守った。隣の部屋の南條と土岐も固唾を呑んで浪江の口元を凝視した。浪江は2本目の煙草を口にくわえた。右手でライターで火をつける。
「さきおとといと、おとといは、どちらにいましたか」
という高橋の問いに二人はまた憮然として顔を見合わせる。
高橋が問い直す。
「お姑さんの方から」
「朝から晩迄一日中一人でテレビを見てるんで夜の十時頃にはベッドに入って枕もとのテレビを見ながら眠った」
「奥さんの方は?」
「永山奈津子の首を絞めたのは規子だ。規子の親指の形と奈津子の喉元の鬱血の形状が多分一致するはずだ。あとは、動機だ」
「浮気ですか」
「そうかも知れん。既に、語るに落ちてはいるがな。ろくに愛してはいなくても、浮気されると憎悪がつのる。女のコケン」
高橋はお茶を啜りながら取調べを続ける。
「お二人は永山奈津子と面識はないんですか」
「ありません」
と規子が二人を代表するように否定した。
「では、ご主人の浮気はどうして分かったんですか?」
「あの人はトイレで用を足すのと同じで女がいないと眠れないタチなんです。でも商売女は嫌いなので外泊すれば浮気以外にはないんです」
「じゃあ、その浮気の相手がなんで永山奈津子と分かるんです?」
「だって、一緒に生活していたんでしょ」
「じゃ、そのことは知っていたんですか?」
「ええ、なんとなく」
「それはおかしい。さっき永山奈津子とは面識がないと言ったでしょ。面識がないのに旦那が奈津子と同棲してたと何で分かるんですか?」
「それは大阪の刑事さんに言われてそうじゃないかと」
と規子は言葉に詰まる。浪江の顔を見る。浪江は疲れからか項垂れている。ふて腐れているようにも見える。灰皿の煙草が消えきらずに煙を上げている。高橋も小林もひと仕事終えたように肩を落とし沈黙を守った。隣の部屋の南條と土岐も固唾を呑んで浪江の口元を凝視した。浪江は2本目の煙草を口にくわえた。右手でライターで火をつける。
「さきおとといと、おとといは、どちらにいましたか」
という高橋の問いに二人はまた憮然として顔を見合わせる。
高橋が問い直す。
「お姑さんの方から」
「朝から晩迄一日中一人でテレビを見てるんで夜の十時頃にはベッドに入って枕もとのテレビを見ながら眠った」
「奥さんの方は?」


