祭りのあと

「パソコンは燃えとるんで、一応科捜研の方に預けてありま。まあ見れば分かると思いますが古い写真ばかりで。この部屋からは出さんといて、そこの机で調べてもらえまっか」
と小関は倉庫から出て行こうとした。それを南條が呼び止めた。
「長田の女房の事情聴取はどうでした。調書を見せてもらえますか?」
「ああ、よろしおま。コピーをとっときますよってに」
と小関が出て行ったあと、南條は作業机の上にダンボール箱の中身を広げた。土岐はそれを手伝った。机の上に小さな蛍光スタンドがあった。スイッチを入れた。一点ずつ詳細に見て行った。USBメモリー十本、デジタルカメラ用のSDメモリーカード二十枚程、メモリサイズは128MB、256MB,512MB,1ギガ、2ギガ。アルバムが五冊、スナップ写真は様々なサイズのものが数え切れない程あった。南條は作業机のパソコンのスイッチを入れ、USBメモリーの中身から順に写真を一枚ずつ、丹念に見て行った。土岐は折り畳み椅子を開いて南條の隣に腰かけた。百枚程のスナップ写真は浪江が言った通り、小学校、中学校、高等学校、大学の卒業記念アルバム用の集合写真や、身分証明書用の個人写真が殆どだった。半分は女の子だ。社会人を撮影したものとしてはWSJの従業員の証明書用の個人写真がある程度だった。スナップ写真も同様でプリンター印刷で不鮮明なものや印刷位置のずれたものなど、印刷ミスらしいものが大半だった。南條はバラのスナップ写真に一枚一枚目を通しながら深い疲労感に襲われた。空腹と寒気を感じ始めた頃、アルバムの点検が残った。古そうなものから順に一冊ずつ見ることにした。土岐は南條の肩越しにアルバムを覗いた。最初の黒地のアルバムには長田浪江とやくざらしい男を中心とした写真がセピア色に変色して黒いコーナーの中に納まっていた。何かの記念写真らしいものを見ると、二人とも美男美女に写っていた。
「この男が長田尊広の父親の隆だろう」