祭りのあと

「明日にでも永山整形クリニックを家宅捜索すれば、少女の死体の写真やデジタルビデオが何枚も出てくるだろう。新しい写真やビデオは長田が撮ったものだが、古い写真は多分永山奈津子の父親が撮ったものだ。恐らく一番古いのは日暮里にいた頃、永山高志が自宅の医院で撮ったものだ。そういう趣味があったんだろう。担ぎ込まれた少女の死体を検死する際に写真に撮って治療中の少女の盗撮と一緒に大阪の天王寺にある通天閣近辺のビニ本ショップに持ち込んで売りさばいた。東京では売らなかった。近場だと足がつくと思った。でもいいカネになったらしい。趣味と実益を兼ねるというやつだ。丁度その頃大阪万国博覧会が開かれていた。七千万人近くの入場者の中にジェイソン・ノイマンがいた。アナハイムに住みドリムランドに勤務していたアメリカ人だ。児童ポルノのマニアだった。やつは大阪で東洋人の少女に関するいかがわしい写真を捜し求めた。西海岸の東洋系アメリカ人の需要があった。そこで永山奈津子の父親が撮った写真と出くわしたわけだ。ジェイソンはもっと写真が欲しいので新しい写真が入ったらアナハイムの自宅に郵送して欲しいとショップの店長にもちかけた。その店長が長田尊広の父親の隆でやくざの舎弟だった。問題は写真の郵送方法と決済方法だ。写真を国際郵便で送って検閲に引っかかると足がつく。そこでジェイソンはスイス系銀行の支店間国際航空輸送サービスを利用した。これは匿名が可能だ。外資系銀行でしかも航空乗務員が輸送する業務郵便だから検閲されるリスクは殆どない。ついでに、決済もこの銀行を利用することにした。いまでは画像の方は暗号をかけて、インターネットで交換している。IDとパスワードがないと、暗号が解けないようになっている。スイス系銀行の日本支店は東京の大手町にしかない。例のあの銀行だ。尊広の父親と奈津子の父親はこの銀行のセイフティデポジットを法人契約で利用し、写真と現金を交互に入れて決済した。ジェイソンはマフィアともつながりを持っている。裏切りは絶対に許されない。取引を停止することは死を意味する。父親の死後、尊広は犯罪を相続した。奈津子は高校生のとき父親の犯罪を知って米国留学という名目で西海岸に逃避したが、そこでジェイムズの知るところとなる。奈津子の父親の差し金だ。いや、尊広がノイマンにちくったのかも知れねえ。アメリカから帰国してすぐにCDLに就職し