浴槽は別だったが天井は一緒だった。風呂から上がると南條が旅館の
主人に無理に夜食を作ってもらった。三人は八畳の方の部屋で遅い夕
食を囲んだ。簡単な料理が電気コタツの上に並べられた。夜食の準備
が整う間南條は林からのメールのプリントアウトを読みふけっていた。
ときどき目の焦点が合わなくなるようでメールを遠ざけたり近づけた
りしている。南條が読みにくさを感じていたのは部屋の薄暗さもあっ
た。百ワットの電球が1個ついているだけだった。宿の亭主が最後に、
ビール1本と地酒の燗酒を持ってきた。南條は亭主が栓を抜くのもも
どかしくビール会社のネーム入りのコップに三人分のビールを注いだ。
「大体お前は人間が甘いのだ。人を信じるのは悪いことではないが、相手による。犯罪者の言うことは疑わなければいけない。千三つというだろう。残りの九百九十七は嘘だということだ。お前のメールを受取って主治医と言うわけではねえが知り合いの警察医に電話で聞いたら頭に火薬を埋め込んで遠隔操作で爆破させる話など聞いたことはないそうだ。カテーテルを使って胆石や血栓や腎臓結石を破壊する技術は確立しているそうだが、遠隔操作はまだ確立されていないそうだ。技術的には不可能でないから、やろうと思えはやれるそうだが、そうやらなければならない必要性が全くないという話だ。町の写真屋やCDLの職員にそんなものの造れるはずもない。これは俺の意見だ」
「それじゃ僕の後頭部にはなにが入ってるんですか。なんか違和感が」
「美容整形で使うシリコンの破片でも埋め込んだんだろう。そのままでも、どうということはねえだろうが気になるようなら取ってもらえ」
そこで風呂上りで頬を桃色に上気させた浴衣姿の亜衣子が洗い髪で、「そうだったの。そんな深刻なことだって知らなかったわ」
「あんたは知らねえだろうけど、こいつは永山奈津子という犯罪者に
主人に無理に夜食を作ってもらった。三人は八畳の方の部屋で遅い夕
食を囲んだ。簡単な料理が電気コタツの上に並べられた。夜食の準備
が整う間南條は林からのメールのプリントアウトを読みふけっていた。
ときどき目の焦点が合わなくなるようでメールを遠ざけたり近づけた
りしている。南條が読みにくさを感じていたのは部屋の薄暗さもあっ
た。百ワットの電球が1個ついているだけだった。宿の亭主が最後に、
ビール1本と地酒の燗酒を持ってきた。南條は亭主が栓を抜くのもも
どかしくビール会社のネーム入りのコップに三人分のビールを注いだ。
「大体お前は人間が甘いのだ。人を信じるのは悪いことではないが、相手による。犯罪者の言うことは疑わなければいけない。千三つというだろう。残りの九百九十七は嘘だということだ。お前のメールを受取って主治医と言うわけではねえが知り合いの警察医に電話で聞いたら頭に火薬を埋め込んで遠隔操作で爆破させる話など聞いたことはないそうだ。カテーテルを使って胆石や血栓や腎臓結石を破壊する技術は確立しているそうだが、遠隔操作はまだ確立されていないそうだ。技術的には不可能でないから、やろうと思えはやれるそうだが、そうやらなければならない必要性が全くないという話だ。町の写真屋やCDLの職員にそんなものの造れるはずもない。これは俺の意見だ」
「それじゃ僕の後頭部にはなにが入ってるんですか。なんか違和感が」
「美容整形で使うシリコンの破片でも埋め込んだんだろう。そのままでも、どうということはねえだろうが気になるようなら取ってもらえ」
そこで風呂上りで頬を桃色に上気させた浴衣姿の亜衣子が洗い髪で、「そうだったの。そんな深刻なことだって知らなかったわ」
「あんたは知らねえだろうけど、こいつは永山奈津子という犯罪者に


