一時すぎに双葉サービスエリアで昼食をとった。トランクに少女の死体があると思うと食欲は進まなかった。昨日の昼間、スポーツセンターから出てきたこまっしゃくれた少女の姿とブルーのトレーニングウエアが頭の中にちらついた。昼食後レストランの椅子に腰掛けて南條にもらった携帯電話で別れのメールを打つことにした。
@僕のせいで署内謹慎の由、申し訳ありません。無事定年迄勤め上げ退職金を満額受領できることを祈念しています@
送信し終えて南條に会うことはもうないと観念すると寂寞とし
た感情に襲われた。双葉サービスエリアを出たのは二時ごろだった。
岡谷のインターチェンジには三時前に着いた。春近い日がまだ高かった。長野自動車道を使わずに一般道から糸魚川街道に入ることにした。曲がりくねった片側一車線の道がフォッサマグナに沿って延々と続いた。春近い橙色の太陽が山肌にかかりかけた頃、色あせかけた緑の山陰を映す木崎湖が見えて来た。冬の終わりを溢れそうな濃紺色の湖面に映して静かに横たわる姿は喩えようもなく美しい。静謐の湖畔の空き地に車を停めて湖のたたずまいを眺めているうちに土岐は全ての真実を伝えることが自分のなすべきことではないかと思い始めていた。土岐は南條に南條から送られた携帯電話でメールを送信することを決意した。
@全てを告白します。長田尊広と永山奈津子は少女連続殺人の犯人に間違いありません。小さな火薬が僕の脳内に埋め込まれていて、その起爆装置をかれらに握られているため、今日迄真実を語ることができませんでした。状況は今も変わりませんが、真実のためにリスクを負うことにしました。後のことはお任せします@
そこ迄打ち込んで送信した。木崎湖の湖面に冬に別れを告げる冷風が吹き渡り、暮れなずむ陽が若芽が息吹きつつある枯れ枝で綴られた山の稜線にかかり始めた。追伸メールを送信することにした。
@僕のせいで署内謹慎の由、申し訳ありません。無事定年迄勤め上げ退職金を満額受領できることを祈念しています@
送信し終えて南條に会うことはもうないと観念すると寂寞とし
た感情に襲われた。双葉サービスエリアを出たのは二時ごろだった。
岡谷のインターチェンジには三時前に着いた。春近い日がまだ高かった。長野自動車道を使わずに一般道から糸魚川街道に入ることにした。曲がりくねった片側一車線の道がフォッサマグナに沿って延々と続いた。春近い橙色の太陽が山肌にかかりかけた頃、色あせかけた緑の山陰を映す木崎湖が見えて来た。冬の終わりを溢れそうな濃紺色の湖面に映して静かに横たわる姿は喩えようもなく美しい。静謐の湖畔の空き地に車を停めて湖のたたずまいを眺めているうちに土岐は全ての真実を伝えることが自分のなすべきことではないかと思い始めていた。土岐は南條に南條から送られた携帯電話でメールを送信することを決意した。
@全てを告白します。長田尊広と永山奈津子は少女連続殺人の犯人に間違いありません。小さな火薬が僕の脳内に埋め込まれていて、その起爆装置をかれらに握られているため、今日迄真実を語ることができませんでした。状況は今も変わりませんが、真実のためにリスクを負うことにしました。後のことはお任せします@
そこ迄打ち込んで送信した。木崎湖の湖面に冬に別れを告げる冷風が吹き渡り、暮れなずむ陽が若芽が息吹きつつある枯れ枝で綴られた山の稜線にかかり始めた。追伸メールを送信することにした。


