その警官が寝袋のガムテープを全部剥がすのに五分位かかった。丁寧な剥がし方だった。もう一人の警官はその周囲に捜査線のテープを張り始めた。警官が剥がし終えると、
「あの寝袋に間違いないな」
と南條がもう一人の警官に聞こえるように土岐に念を押した。土岐は黙って頷いた。警官がチャックを引き開けると、中からガムテープでつなぎ合わされた腐植土の袋が四つ出てきた。一つの袋は中央をガムテープでくびれるように形成され人間の首のようになっていた。その下に胴のような袋がガムテープで接着され更にその下に足のような形になった二袋が繋がっていた。土岐を事情聴取した警官が覗き込みながら、
「寝袋と腐植土だ」
とぽつりと言った。慌ててもう一人の警官がパトカーに戻り署活系無線で須玉署を出た一課の刑事に連絡を取った。状況を説明し来るに及ばないことを申し添えた。
「この野郎!」
と南條がいきり立って土岐の胸倉を掴んだ。土岐のサファリジャケットのボタンがひとつ飛んだ。土岐はされるままに爪先立ちになった。それを若い警官が制した。
「これは軽犯罪ですね」
と南條をなだめながら、土岐の手錠をはずした。それを見届けて、ロープの後片付けをしていたレスキュー隊の二人は警官に小さく挨拶をして、特殊車両で、何事もなかったかのように下山して行った。
「レスキュー隊も呼んじゃったんで、とりあえず署迄きてもらって始末書を書いてもらいます。全くお騒せだな。ガセネタで、事件でなくて良かった。事件であれば今夜は帰宅できないところだった」と警官はとがめるように土岐と南條を見た。
「予行演習だったのか。はめられたな。追尾しやすかった訳だ」
と南條は悔しそうに呻き肩を落としてほぞをかむ思いで唇を噛んだ。
土岐は須玉署の二階の薄暗い取調室で始末書を書かされた。当直の刑事と若い警官の指示通りに用紙に書き込み拇印を押した。現住所を書き込む時に躊躇した。千住のアパートにするか舞浜にするか。南條が同席していなかったので千住のアパートの番地を記入した。刑事は土岐の運転免許証を見ながらそれを確認した。
「あの寝袋に間違いないな」
と南條がもう一人の警官に聞こえるように土岐に念を押した。土岐は黙って頷いた。警官がチャックを引き開けると、中からガムテープでつなぎ合わされた腐植土の袋が四つ出てきた。一つの袋は中央をガムテープでくびれるように形成され人間の首のようになっていた。その下に胴のような袋がガムテープで接着され更にその下に足のような形になった二袋が繋がっていた。土岐を事情聴取した警官が覗き込みながら、
「寝袋と腐植土だ」
とぽつりと言った。慌ててもう一人の警官がパトカーに戻り署活系無線で須玉署を出た一課の刑事に連絡を取った。状況を説明し来るに及ばないことを申し添えた。
「この野郎!」
と南條がいきり立って土岐の胸倉を掴んだ。土岐のサファリジャケットのボタンがひとつ飛んだ。土岐はされるままに爪先立ちになった。それを若い警官が制した。
「これは軽犯罪ですね」
と南條をなだめながら、土岐の手錠をはずした。それを見届けて、ロープの後片付けをしていたレスキュー隊の二人は警官に小さく挨拶をして、特殊車両で、何事もなかったかのように下山して行った。
「レスキュー隊も呼んじゃったんで、とりあえず署迄きてもらって始末書を書いてもらいます。全くお騒せだな。ガセネタで、事件でなくて良かった。事件であれば今夜は帰宅できないところだった」と警官はとがめるように土岐と南條を見た。
「予行演習だったのか。はめられたな。追尾しやすかった訳だ」
と南條は悔しそうに呻き肩を落としてほぞをかむ思いで唇を噛んだ。
土岐は須玉署の二階の薄暗い取調室で始末書を書かされた。当直の刑事と若い警官の指示通りに用紙に書き込み拇印を押した。現住所を書き込む時に躊躇した。千住のアパートにするか舞浜にするか。南條が同席していなかったので千住のアパートの番地を記入した。刑事は土岐の運転免許証を見ながらそれを確認した。


