レストランの大きな硝子窓から駐車場を見ると、見覚えのあるBMWが窓の近くに停車していた。急いでコーヒーを飲み干しレストランを出た。レンタカーに乗ると長田のBMWがゆっくりと先に動き出した。スモーク硝子で車内は見えなかった。須玉インターで中央高速を出るとBMWはひと気のない緩やかな斜面を北上し始めた。積雪はなかった。民家が殆どないスーパー林道の両側には葡萄畑と野菜畑が続いていた。八ヶ岳を望める見晴らしのいい台地にある畑の途切れたところから鬱蒼とした杉林が続き民家も畑もないさみしい窪地でBMWがハザードランプを点滅させて停車した。前も後ろも上り坂になっていて見通しが悪かった。前方の山の斜面の所々にまだらな積雪がうかがえた。土岐はBMWの後ろに停め近づいてくる車の気配のないのを確認してトランクを開けた。長田もトランクを開け中の寝袋を抱え出した。土岐のレンタカーに近寄ってきた。寝袋はガムテープがぐるぐる巻きになっていた。長田はレンタカーのトランクに寝袋を納め、急いで閉めた。
「それじゃ、あとはお願いする」
「まだ息はあるんですか?」
と土岐が遠慮がちに聞くと、
「君にお願いするのは遺棄だけ。捨てたものがたまたま死体だった」と他人事のように長田は答えた。最後に、
「かりに誰かに見つかっても、絶対に口外しないこと。いいな」
と言い残して、長田は車に戻った。
「それじゃ、あとはお願いする」
「まだ息はあるんですか?」
と土岐が遠慮がちに聞くと、
「君にお願いするのは遺棄だけ。捨てたものがたまたま死体だった」と他人事のように長田は答えた。最後に、
「かりに誰かに見つかっても、絶対に口外しないこと。いいな」
と言い残して、長田は車に戻った。


