祭りのあと

と長田は穏やかな口調で別人のように優しく語りかける。土岐は背後のそのやりとりを遠巻きに確認し路地を京葉道路方向に右折した。東京方面に十分程歩いたところに長田の言った通り京葉道路沿いにレンタカー会社があった。言われた通りにスタッドレスタイヤの千五百ccのコンパクトカーを借りた。カーナビは標準装備になっていた。運転免許証の住所が千住のアパートになっていたので申込書に同じ住所を書き入れた。手続きに手間取った。レンタカー会社を出たのは二時近かった。長田のメモ書きにある住所を登録した。高速道路標準でナビゲーションをスタートさせた。首都高速の入口に向かうように指示された。錦糸町ランプから7号小松川線に入り環状線を経由して4号新宿線に入り高井戸から中央自動車道に入った。分岐のつどカーナビから音声指示があった。首都高速も中央高速も業務用トラックでかなり混雑していた。途中石川パーキングエリアで軽い昼食にした。次の談合坂サービスエリア迄距離がある。駐車する人が多く、とてつもない混雑で1時間近くかかった。そこから双葉サービスエリア迄二時間近くを要した。断続的な渋滞があった。高速走行できたのはほんの数区間だけだった。日はまだ高かったものの傾きかけた黄色い太陽に春の気配がそこはかとなく感じられた。双葉サービスエリアの駐車場内を三周してみたが長田のBMWはまだ到着していない。ひとまず駐車しトイレに寄った。自動販売機で冷たいコーヒーを飲んで喉の渇きを癒した。眠気覚ましに食堂で熱いコーヒーを飲むことにした。レストランの座席に着いて腕時計を見ると五時前だった。コーヒーを飲み終えた頃、長田から受取った携帯電話が鳴った。土岐が出ると長田の落ち着きはらった声がした。
「これから須玉インターで出て、ひと気のない林道で寝袋を渡す。俺が先導するのでついてきてくれ。いま窓の外にいる」