と語りながら長田はちらちらとバックミラーに視線を向ける。後方の交通が気になるようだ。
「そう信じられていた、そう信じたという根拠はなんですか?」
と土岐は荒唐無稽と感じながらも長田の話に引きずり込まれていた。
「我々の先祖はアフリカの大地溝帯から北上してきた人類に滅ぼされかけた。絶滅はせずに数十人の集団の規模でヨーロッパ中に点在していた。先祖はヨーロッパ一帯で平和に生活していた。人を疑う、だます、殺す、傷つけるということを一切しない人々だった。ところが南方から来た今の人類に殺戮され僅かな人数が隠れるようにネアンデル谷あたりに住んでいた。六千年ぐらい前に女帝が現れた。女帝と言えば天照大御神も卑弥呼も女性だ。類まれな霊能者だった。その女帝がある日、川のほとりで人類の女の子と出会った。そのとき背筋が凍りつきそうな戦慄をその女の子に覚えた。その女の子が生む男の子に将来、仲間が虐殺されると予言した。その予言は三十数年後に的中した。女帝が生んだ女の子と僅かな連れがかろうじて生き延びた。流浪の民となった。女帝の子孫のうち女子は代々、邪悪な虐殺者を将来生むことになる女の子に出会うと体中に悪寒が走った。全身に痙攣が起こるという霊能力を継承した。先祖はこの六千年間ひそかにそういう女の子を抹殺してきた。永山奈津子はその末裔で、今日も一人、そういう女の子を消す予定だ」
と語りながら国道沿いの駐車場入口から誘導路を一気に上り長田はホームセンターの屋上にBMWを停めた。屋上からエレベーターで一階に降りた。土岐はカートを押しながら長田に命じられるままに安物の白い寝袋とガムテープと腐植土を四袋購入した。
「領収書は保管して。今回は、インフルエンザが有効でなかった。寝袋の中に女の子を腐植土と一緒に入れる。人跡未踏の谷底に遺棄する。安物の寝袋だと裂けやすい。そこから細菌やバクテリアが侵入する。腐植土の中の細菌とともに遺体を早く腐食させ分解する。野生動物が食べてくれるとなおありがたい。白は雪にまぎれて発見されにくい色だ。アメリカではいたるところに人跡未踏の場所があるが、日本にもかなりある。国土の大半が山林だから。そこ迄車で」
「僕は何を?」
と土岐はカートを押し進めながら聞く。
「コーヒーでも飲みながら相談しよう」
「そう信じられていた、そう信じたという根拠はなんですか?」
と土岐は荒唐無稽と感じながらも長田の話に引きずり込まれていた。
「我々の先祖はアフリカの大地溝帯から北上してきた人類に滅ぼされかけた。絶滅はせずに数十人の集団の規模でヨーロッパ中に点在していた。先祖はヨーロッパ一帯で平和に生活していた。人を疑う、だます、殺す、傷つけるということを一切しない人々だった。ところが南方から来た今の人類に殺戮され僅かな人数が隠れるようにネアンデル谷あたりに住んでいた。六千年ぐらい前に女帝が現れた。女帝と言えば天照大御神も卑弥呼も女性だ。類まれな霊能者だった。その女帝がある日、川のほとりで人類の女の子と出会った。そのとき背筋が凍りつきそうな戦慄をその女の子に覚えた。その女の子が生む男の子に将来、仲間が虐殺されると予言した。その予言は三十数年後に的中した。女帝が生んだ女の子と僅かな連れがかろうじて生き延びた。流浪の民となった。女帝の子孫のうち女子は代々、邪悪な虐殺者を将来生むことになる女の子に出会うと体中に悪寒が走った。全身に痙攣が起こるという霊能力を継承した。先祖はこの六千年間ひそかにそういう女の子を抹殺してきた。永山奈津子はその末裔で、今日も一人、そういう女の子を消す予定だ」
と語りながら国道沿いの駐車場入口から誘導路を一気に上り長田はホームセンターの屋上にBMWを停めた。屋上からエレベーターで一階に降りた。土岐はカートを押しながら長田に命じられるままに安物の白い寝袋とガムテープと腐植土を四袋購入した。
「領収書は保管して。今回は、インフルエンザが有効でなかった。寝袋の中に女の子を腐植土と一緒に入れる。人跡未踏の谷底に遺棄する。安物の寝袋だと裂けやすい。そこから細菌やバクテリアが侵入する。腐植土の中の細菌とともに遺体を早く腐食させ分解する。野生動物が食べてくれるとなおありがたい。白は雪にまぎれて発見されにくい色だ。アメリカではいたるところに人跡未踏の場所があるが、日本にもかなりある。国土の大半が山林だから。そこ迄車で」
「僕は何を?」
と土岐はカートを押し進めながら聞く。
「コーヒーでも飲みながら相談しよう」


