「そのときに、できた子なんですか?」
「そう。おどろいて?」
「先日CDLで入園客と携帯電話の番号を交換していたけれど、あんな男の中の一人が、お父さんということですか?」
「そんな感じ」
土岐にとってどうも会話がかみ合わなかった。奈津子の言っている意味が良く理解できなかった。長田は二人の会話に興味がなさそうに、煙草を取り出し、右手でライターの火をつけた。
夕食を終えて、一服していた長田がいなくなると、
「私の部屋は二階の右奥のスイートルーム。鍵は掛けていないので、いついらっしゃっても結構ですよ」
と奈津子は甘ったるく囁いた。土岐にはその艶やかな囁きの本当の意味がよく理解できなかった。奈津子は厨房に去った。土岐はそのあと自室に戻ったが奈津子の言ったことの意味が理解できなかった。噛み合わない歯車。サイズの合わない入れ物と中身。ベッドの中でうとうとと、とりとめのない想像をしているうちに寝入っていた。
15 奇妙な初仕事
翌朝、夢うつつの中で誰かが言い争っている声が聞こえてきた。奈津子の涙声がかろうじて聞き取れた。内容は良く分からなかった。それから暫くしてドアを強くノックする音で土岐はベッドから跳ね起きた。長田のどすのきいた声がする。
「朝食」
良く寝たという感覚があった。身支度して一階食堂に下りて行く。一人分の朝食が用意されていた。ファストフードのブレックファストのようなメニューだ。食堂には誰もいない。コーヒーを持って長田が現れたので、探りを入れた。
「今日、初仕事だと昨日、永山さんから聞きましたが」
「食事を終えたら出かける。運転してもらうので免許証を携帯して」と長田は事務的に言う。土岐の食事中長田は煙草を吸い続けていた。一本吸い終わると次の一本を取り出し右手でライターで火をつけていた。食後、免許証を取りに自室に戻り、ついでに南條から送られてきた携帯電話を密かにポケットに忍ばせた。二人は年代もののBMWに乗って、国道沿いのホームセンターに向かった。
「十万円ぐらい持ってくるように」
という長田の指示があった。土岐はポケットに奈津子からもらった百万円から抜き取った一万円札を十枚用意した。土岐は長田の横顔を見ないようにして探るように聞いてみた。
「3411という数字はどういう意味なんですか?」
「そう。おどろいて?」
「先日CDLで入園客と携帯電話の番号を交換していたけれど、あんな男の中の一人が、お父さんということですか?」
「そんな感じ」
土岐にとってどうも会話がかみ合わなかった。奈津子の言っている意味が良く理解できなかった。長田は二人の会話に興味がなさそうに、煙草を取り出し、右手でライターの火をつけた。
夕食を終えて、一服していた長田がいなくなると、
「私の部屋は二階の右奥のスイートルーム。鍵は掛けていないので、いついらっしゃっても結構ですよ」
と奈津子は甘ったるく囁いた。土岐にはその艶やかな囁きの本当の意味がよく理解できなかった。奈津子は厨房に去った。土岐はそのあと自室に戻ったが奈津子の言ったことの意味が理解できなかった。噛み合わない歯車。サイズの合わない入れ物と中身。ベッドの中でうとうとと、とりとめのない想像をしているうちに寝入っていた。
15 奇妙な初仕事
翌朝、夢うつつの中で誰かが言い争っている声が聞こえてきた。奈津子の涙声がかろうじて聞き取れた。内容は良く分からなかった。それから暫くしてドアを強くノックする音で土岐はベッドから跳ね起きた。長田のどすのきいた声がする。
「朝食」
良く寝たという感覚があった。身支度して一階食堂に下りて行く。一人分の朝食が用意されていた。ファストフードのブレックファストのようなメニューだ。食堂には誰もいない。コーヒーを持って長田が現れたので、探りを入れた。
「今日、初仕事だと昨日、永山さんから聞きましたが」
「食事を終えたら出かける。運転してもらうので免許証を携帯して」と長田は事務的に言う。土岐の食事中長田は煙草を吸い続けていた。一本吸い終わると次の一本を取り出し右手でライターで火をつけていた。食後、免許証を取りに自室に戻り、ついでに南條から送られてきた携帯電話を密かにポケットに忍ばせた。二人は年代もののBMWに乗って、国道沿いのホームセンターに向かった。
「十万円ぐらい持ってくるように」
という長田の指示があった。土岐はポケットに奈津子からもらった百万円から抜き取った一万円札を十枚用意した。土岐は長田の横顔を見ないようにして探るように聞いてみた。
「3411という数字はどういう意味なんですか?」


