という長田の要請を聞いて作業員は長田一人らしいことに気付いた。携帯電話は長田に言われなければ忘れるところだった。アパートの外階段の脇に横付けにされた幌つきの普通トラックに引越し荷物を全て載せるのに小一時間も掛からなかった。部屋の中の荷物が全て運び出されて空になった部屋の中で長田は携帯電話を取り出た。
「これはクリニックから支給された携帯電話。色は違うが、そっちの携帯電話と同じ機種だから。電池パックの交換をしよう」
と言いながら、長田は土岐の携帯電話を受け取り、電池パックをはずし、新しい携帯電話に装着した。
「パックの交換は三分以内で。三分越えると、起爆装置が作動する」
と注意を言い終えたところに不動産屋の中年男が二日酔いの腫れぼったい顔と臭い息でやってきた。
土岐は提示された見積もり通りに残金を支払った。
「何かあったときの連絡先をお願いできますか」
と言われた土岐の代わりに長田が答えた。
「私が転居先の大家になるので、こちらの携帯電話に連絡を下さい」と不動産屋に電話番号を教えた。不動産屋がいなくなると長田は最後に天井の監視カメラをはずした。はずし終えると、一服するため、からっぽになったフローリングの部屋の中央に腰を下ろした。胸のポケットから煙草を取り出し、右手で百円ライターで火をつけた。トラックで千住から舞浜迄1時間足らずの行程だった。土岐は運転手の長田の冷酷そうな角ばった横顔を見ながら恐る恐る聞いてみた。
「関係者は何人いるんですか?」
「舞浜も大阪も2人」
「舞浜2人というのはあの男の子をいれて?」
「そう。関係者は少ない方がいい。最小限でないと情報が漏れる。日本全体でも、最多で十人を越えたことはない。全世界でも百人」
「関係者が少なくなくなった場合は、どうするんですか?」
「プリンセスが子供を生むか、一般大衆の中から探す、君のように」と長田が言うのを聞いて土岐は絶句して硬いシートに座りなおした。
「僕をどうやって探したんですか?」
「これはクリニックから支給された携帯電話。色は違うが、そっちの携帯電話と同じ機種だから。電池パックの交換をしよう」
と言いながら、長田は土岐の携帯電話を受け取り、電池パックをはずし、新しい携帯電話に装着した。
「パックの交換は三分以内で。三分越えると、起爆装置が作動する」
と注意を言い終えたところに不動産屋の中年男が二日酔いの腫れぼったい顔と臭い息でやってきた。
土岐は提示された見積もり通りに残金を支払った。
「何かあったときの連絡先をお願いできますか」
と言われた土岐の代わりに長田が答えた。
「私が転居先の大家になるので、こちらの携帯電話に連絡を下さい」と不動産屋に電話番号を教えた。不動産屋がいなくなると長田は最後に天井の監視カメラをはずした。はずし終えると、一服するため、からっぽになったフローリングの部屋の中央に腰を下ろした。胸のポケットから煙草を取り出し、右手で百円ライターで火をつけた。トラックで千住から舞浜迄1時間足らずの行程だった。土岐は運転手の長田の冷酷そうな角ばった横顔を見ながら恐る恐る聞いてみた。
「関係者は何人いるんですか?」
「舞浜も大阪も2人」
「舞浜2人というのはあの男の子をいれて?」
「そう。関係者は少ない方がいい。最小限でないと情報が漏れる。日本全体でも、最多で十人を越えたことはない。全世界でも百人」
「関係者が少なくなくなった場合は、どうするんですか?」
「プリンセスが子供を生むか、一般大衆の中から探す、君のように」と長田が言うのを聞いて土岐は絶句して硬いシートに座りなおした。
「僕をどうやって探したんですか?」


