「ペンタゴンが管理するGPS衛星は上空2万キロの6つの軌道面にそれぞれ4つ以上、全部で三十個ぐらいが配置されています。だいたい十二時間周期で地球を回ってます。衛星は超高性能の原子時計を持っていて電波で時間を含むデータを地上に送信しています。三角測量と同じで、その携帯電話は受信機になっていて二つの衛星からの電波を受信して距離を計算すれば現在位置を出すことができます。その情報がこちらに転送されてくるので、あなたの居場所をリアルタイムで知ることができます。こちらから携帯電話を経由してあなたの後頭部の火薬を爆破することができます。あなたが話す音声も盗聴できます。あなたが送受信するメールも読むことができます。盗聴器もGPSと一緒に携帯電話に埋め込んだものです。ですからあの日からのあなたの言動は逐一、全て捕捉しています」
と言われて土岐は自分の言動の全てを知って奈津子がどう受取ったのかを推察しようとした。しかし刺すような頭痛がそれをはばんだ。
「それで僕をどうしたいんですか」
と痛みをこらえて、初めて口をきいた。いまそうしていることの意味も奈津子との新たな関係も夢のようでよく呑み込めなかった。
「やっと、しゃべれるようになりましたね。あなたにお願いしたいのは、先週駅前のファミレスで、お話したとおりです。CDLと未成年の女子の自殺や事故死とは、なんの関係もないことを、わかりやすいように、遺漏なく調査報告書に書き込んで下さい」
「それはできない。嘘になる。統計的な事実だから、誰が見ても否定できない。僕が立てた統計上の仮説はいずれ誰かがきちんと検証するだろうと思います。時間の問題です」
と土岐は理不尽な扱いに感情的になっていた。興奮する思いを抑えることができなかった。
「事故死と関係のあることは説明できない、ということでどう?」
「それなら多分、書けるでしょう。でも深野課長がなんと言うか」
「説得して。あなたの努力はその携帯電話を通して確認できます」
「お願いされたことが終われば火薬を除去してくれるんですか?」
「あなたは既に私達の秘密を知ってしまいました。知りすぎてしまったのです。今週中とは言いませんが、あなたには、早いうちにここに住んでもらいます。もちろん、衣食住とも私達が面倒見ます」
と言われて土岐は自分の言動の全てを知って奈津子がどう受取ったのかを推察しようとした。しかし刺すような頭痛がそれをはばんだ。
「それで僕をどうしたいんですか」
と痛みをこらえて、初めて口をきいた。いまそうしていることの意味も奈津子との新たな関係も夢のようでよく呑み込めなかった。
「やっと、しゃべれるようになりましたね。あなたにお願いしたいのは、先週駅前のファミレスで、お話したとおりです。CDLと未成年の女子の自殺や事故死とは、なんの関係もないことを、わかりやすいように、遺漏なく調査報告書に書き込んで下さい」
「それはできない。嘘になる。統計的な事実だから、誰が見ても否定できない。僕が立てた統計上の仮説はいずれ誰かがきちんと検証するだろうと思います。時間の問題です」
と土岐は理不尽な扱いに感情的になっていた。興奮する思いを抑えることができなかった。
「事故死と関係のあることは説明できない、ということでどう?」
「それなら多分、書けるでしょう。でも深野課長がなんと言うか」
「説得して。あなたの努力はその携帯電話を通して確認できます」
「お願いされたことが終われば火薬を除去してくれるんですか?」
「あなたは既に私達の秘密を知ってしまいました。知りすぎてしまったのです。今週中とは言いませんが、あなたには、早いうちにここに住んでもらいます。もちろん、衣食住とも私達が面倒見ます」


