祭りのあと

と土岐が耳打ちすると小関は多少眼の色を変えた。やる気になったような素振りを示した。夕日が落ちて小関と梅田の地下の飲食店街に行き串かつをカウンターで食べた。生ビールを呑みながら小関は譴責、訓戒、謹慎、減俸処分の回数を自慢した。南條とは数年前、ノンキャリの悲哀で意気投合したというようなこと話した。南條の権力に対する反骨精神は持って生まれた性格のように見受けられた。小関のそれには様々な要因が夾雑しているように見えた。明石の三州瓦の工場について探りを入れてみた。小関は何も知らないようだった。土岐は長田に関する疑惑を小関にしつこく説明した。長田と水野に関する情報の提供を小関に確約させた。別れ際に小関があまり土岐を歓待しなかった理由がわかった。小関は月曜日は非番だったのだ。土岐はそれを知って幾度も詫びを入れて東京に戻った。東京に戻る新幹線の車中から携帯電話で南條に報告メールを送信した。

11 昏睡と軟禁と

 晴れ渡った三月最初の火曜日の朝遅く、朝食も取らずに昼近くになって土岐はCDLに向かうことにした。アパートを出るとき亜衣子に連絡しようかどうか迷った。奈津子に出会ってから亜衣子がなんとなく重たく遠く色あせて感じられるようになっていた。うきうきするような軽い感覚が消えて、じめじめするような湿っぽく重い心情が芽生えていた。JR京葉線で舞浜に着いた。奈津子にもらった年間パスポートを使ってみた。入園できた。入園してから、前回、舞浜駅から掛けた固定電話の番号を呼び出して繋いでみた。
「あのう、土岐と言いますが、永山さんはおられますか?」
「出ておりますが、永山の携帯からそちら様にかけなおさせます」
「それでしたら結構なんですが、永山さんは何時ごろお戻りですか」
「午前中は迷子係りで、午後は夕方迄ランド内を巡回しています。5分ぐらい前にアドベンチャーランドから業務連絡があったので、いまごろは、ウエスタンランドあたりではないかと思うのですが」