「ああ、高校生の子やな。それは、ご愁傷様です」
「で、退職したわけは」
と土岐が聞くと運転手は決断したかのようにゆっくりと歩き出した。
「魔がさしたんとちゃいまっか。ゆうて、ええのんやろか。わいが言わんといても、調べればどの道、分かることやと思うけど」
と運転手は情報を洩らすことの損得を狭い額の奥で計算している。
「わいがゆうたっちゅうことは、言わんといてもらえまっか?」
「約束します」
と言いながら土岐は運転手の目を見た。二人は工場街の通りの労働者で溢れた横断歩道を渡りながら、会話を繋いだ。
「水やんは会社の金に手ェつけたっちゅうことや。結構な金額で、明石の自宅を売っても追いつかんかったらしい。街金やら闇金やらに手ェ出して、全額弁償するゆうことで刑事告発を免れたっちゅう噂や。まあ、会社も、金は戻ったことやし、ええ話やないし、会社の評判落とすんで、表沙汰にしたくなかったんやろと思うけど。刑事さん、お願いやで、わいがゆうたっちゅうことは、内緒やで」
二人はJR山陽本線の明石駅で上りと下りに別れた。フォークリフトの運転手は姫路方面、土岐は大阪方面に向かった。土岐は梅田から御堂筋線で本町迄行った。堺筋線に乗り換えた。谷町四丁目で下車した。中央区大手前の大阪府警に立ち寄った。受付で少年課の担当者の小関を呼び出した。暫くして馬面の男が出て来た。顎が長く、先端がひげそり後にも拘わらず、汚れたように黒ずんでいた。受付ロビーで小関にWSJ関連の気になる事案について情報を得ようとした。ていよく追い払われかけた。小関に本当に情報がなかったのか、権力が集中している東京が嫌いだからなのか、理由は分からなかった。それでも、土岐は帰り際に長田尊広の情報を伝えた。メールアドレスを教えて、身辺調査の送信をしつこく依頼した。
「とてつもないヤマかも知れないと南條さんが言ってました」
「で、退職したわけは」
と土岐が聞くと運転手は決断したかのようにゆっくりと歩き出した。
「魔がさしたんとちゃいまっか。ゆうて、ええのんやろか。わいが言わんといても、調べればどの道、分かることやと思うけど」
と運転手は情報を洩らすことの損得を狭い額の奥で計算している。
「わいがゆうたっちゅうことは、言わんといてもらえまっか?」
「約束します」
と言いながら土岐は運転手の目を見た。二人は工場街の通りの労働者で溢れた横断歩道を渡りながら、会話を繋いだ。
「水やんは会社の金に手ェつけたっちゅうことや。結構な金額で、明石の自宅を売っても追いつかんかったらしい。街金やら闇金やらに手ェ出して、全額弁償するゆうことで刑事告発を免れたっちゅう噂や。まあ、会社も、金は戻ったことやし、ええ話やないし、会社の評判落とすんで、表沙汰にしたくなかったんやろと思うけど。刑事さん、お願いやで、わいがゆうたっちゅうことは、内緒やで」
二人はJR山陽本線の明石駅で上りと下りに別れた。フォークリフトの運転手は姫路方面、土岐は大阪方面に向かった。土岐は梅田から御堂筋線で本町迄行った。堺筋線に乗り換えた。谷町四丁目で下車した。中央区大手前の大阪府警に立ち寄った。受付で少年課の担当者の小関を呼び出した。暫くして馬面の男が出て来た。顎が長く、先端がひげそり後にも拘わらず、汚れたように黒ずんでいた。受付ロビーで小関にWSJ関連の気になる事案について情報を得ようとした。ていよく追い払われかけた。小関に本当に情報がなかったのか、権力が集中している東京が嫌いだからなのか、理由は分からなかった。それでも、土岐は帰り際に長田尊広の情報を伝えた。メールアドレスを教えて、身辺調査の送信をしつこく依頼した。
「とてつもないヤマかも知れないと南條さんが言ってました」


