彼女は向こうの方に住んでいるに違いない。つまり、スマホを拾って僕のものではないかと考えると、わざわざ駅の方まで届けに来てくれたということになる。

 自分が死ぬこと自体には他人事のようだが、自分の死で誰かを悲しませることはとても気にしていた。今までの態度も、ずっと僕を気遣ってのことだったのだ。