木村先輩はゆっくりと顔を上げた。特に、泣いているなどの変化はなく、やはり無表情だ。彼女は僕から目を逸らしながら言った。

「私と関わっても、悲しい思いするだけだからさ。本来ならCDを借りるのもおかしな話だよね……」


 木村先輩は二ヶ月後に死ぬ。彼女と関わると悲しい思いをするのは事実だ。もしかしたら、そんな思いを人にさせないために、誰とも関わらないようにしていたのかもしれない。

 僕も孤独な高校生活を過ごしているため、胸が痛んだ。それを振り切るように明るく言う。この言い方が正解かわからないが、言うしかなかった。