「ねぇ、琴音」


「なに?」


「まだ聴かせてない曲があるんだ。聴いてくれないかな」


「聴きたい」


「ありがとう。この曲は琴音のために作ったんだ。世界で唯一、琴音だけが聴く曲だからね」


 琴音の顔は期待に満ちていた。僕はギターを手に取る。正真正銘、これが本当の最期だ。