その事実を知り、琴音も僕も涙が止まらなかった。誰かが誰かを思う強い気持ちに応えて、カトアミケルは奇跡を起こすのだろう。

 和泉さんに会ったのは、この日が最期だ。次に教会を訪れた時は彼の息子さんがいて、和泉さんが亡くなったことを教えてくれた。

 結局、カトアミケルの奇跡を体験したのはあの一度きりだ。

 だが、あれがなければ二人の時間は終わっていた。だから、今日までの全てが奇跡の続きと言える。