そういうことだったのか。全てわかった。

 琴音に近づき、そっと抱きしめる。雨に濡れたため、少し冷たくなっているが、確かな温もりを感じる。生きている琴音の体温だ。

「琴音は僕の寿命を奪ったんじゃないよ。あれはもうあげたから琴音の命だよ。琴音は僕に寿命を分けてくれたんだ。琴音のおかげでこれからも生きていけるよ。二人で生きていこう」