「僕は結局、琴音の気持ちを考えられなかった。お母さんを亡くして辛い思いをしている琴音を見ていたのに、なんの躊躇いもなく自分の命を差し出そうとした。琴音に生きて欲しいという自分の気持ちだけを優先して、他になにも考えられなかった。こんなわがままな男が、彼氏でいたらいけないと思う。琴音は生きているけど、僕には支える資格がないよ」


 琴音はため息をついて、呆れたように言った。