わけがわからない。わかるのは顔面を殴られたということだけだ。

 オロオロする僕に琴音は低い声で言った。


「ねぇ、さっきなにしようとしたの?」


 初めて会った時、琴音をことを怖いと思った。だが、今は違う。もっとシンプルな怖さだ。圧倒的な怒りが僕に向けられている。