頭の右側が軽くなった。ピンク色に光り、虹色の灰になっていくのだろう。

 この目が消えた先には、どんな景色があるのだろうか。なにが見えても、僕はその情景を愛せるだろう。琴音のために見たのだから、きっと愛せるはずだ。

 記憶が、自分が、全てが、琴音と一つになっていく。

 これが僕の愛だ。琴音に出会えて本当に良かった。

 右目がなにも見えなくなった。もう右の感覚がない。自分には初めから右側など存在しなかったとさえ思える。

 僕は琴音のために存在していた。はっきりとそう言える。