「十歳の誕生日、一週間昏睡状態になるくらいの事故にあったの」


「え? そんなことがあったんですか?」


 しまった。少し声が大きくなってしまった。


「あったよ。後遺症とかはなかったけどね」


 僕の声を木村先輩は全く気にせず、さらに話を続ける。


「意識が戻った時から、あなたが見た映像と同じものが見えるようになったの」