落ちるはずがないスマホがポケットから落ちたのも、もしかしたら僕と琴音を引き合わせたい朔也の思いが起こした奇跡だったのかもしれない。

 彼は続けて言った。


『そこから先のことは、来世の俺達に任せる。後、これは出来たらでいい。来世の俺は真っ当な人間にしてくれ』


 朔也の記憶は完全に蘇った。それでも、蘇ったのはなにをしてきたかという記憶だけだ。