教会にカトアミケルの石像がないのだ。純子さんはそれに気がついていない。

 スクリーン越しに傍観している僕とは違い、彼女にそんなことを気にしていられる余裕はないのだろう。

 すると、今度は教会にノックの音が響いた。なんの変哲もない音のはずなのに、オルガンの音のような神聖なものに感じる。