一体、なにが起きてしまったのだろうか。これこそ夢を見ているとしか思えない。

 琴音を失った悲しみで、意識が現実から逃げてしまったのか。

 映画が始まる時のように、館内は徐々に暗くなっていく。

 これも、あの時と同じだ。

 これからまた、琴音の寿命が映し出されるのだろうか。そんなもの、もう見たくはない。琴音の寿命なら、現実として散々見てきた。