あの虹の向こうへ君と

「翼」


 いつもそうだ。いつも沈黙を破るのは琴音の方だ。

 無意識のうちに俯いていた顔を、ゆっくりと上げて琴音を見る。彼女は優しく僕に言った。


「そんな顔しないで」