琴音は日記を読まずに自分の鞄にしまった。唖然としている僕に、彼女は淡々と言った。心なしか声が震えている。 「ごめんね。今、これを読んだらまた泣いちゃいそうだから。最期くらいは涙を見せたくないの」 琴音の身体が僕の肩から離れた。雲一つない青空を、彼女は遠い目で見つめる。