女の子の顔をよく見ていないため、具体的にどんな顔だったかは覚えていない。それでも、花のような綺麗な笑顔は、よく似ていたと思う。


「どうしたの、翼?」


 琴音の言葉で現実へと引き戻された。

 いけない。過去にいた女の子のことよりも、目の前にいる琴音の方が大切だ。