「持ってますけど……」


 木村先輩は大きく目を見開いた。これは誰がどう見ても驚いている。普段から表情に乏しい彼女がここまでになる要因が、先ほどの会話の中にあったのだろうか。逆に僕が驚いてしまった。


「あの……どうしましたか?」


 木村先輩はすぐにいつもの無表情に戻ると、少しだけ間を置いてから言った。