ケースを見てわかる。間違いなく、僕のスマホだ。入っているはずのポケットに手を入れてみると、そこにはなにも入っていなかった。


「通学路に落ちてたの。やっぱりあなたのだったのね」


 いつ落としたのかわからない。そもそも、常にポケットに入れているスマホを落とすことなどあり得るのだろうか。

 ポケットが破けていないか確かめるために、もう一度手を入れてみたが、やはり穴など空いていない。

 納得できなくても、木村先輩が拾ったことは事実だ。お礼を言ってから受け取った。