「良いお店だね。連れてきてくれてありがとう」


 ドアベルよりも美しく、琴音の声が聞こえた。


 彼女はそこまで表情を変えていないが、まるで少女のような目で店内を見ている。こうした顔も好きだ。


「今日は好きなものを選んでいいよ」


「それなら……」


 琴音はちょっと恥ずかしそうに言った。