しかし、彼女の顔は少しも辛そうではない。表情が少ない人ではあるが、なにか固い決意のようなものが滲み出ている。

 なにも言えない僕に、彼女は尋ねた。


「ねぇ、翼。この丘の場所、今でもわかる?」


「行き方が難しくて説明できませんが、現地に行けばわかります」


「最期の日、連れて行って欲しいの。ここで終わらせたい」