これまでは、自分から学校で声を出すことがほとんどなかったが、彼女へのあいさつは自分から声を出す貴重な機会だった。

 声を出さないことが当たり前のように思っていたが、無意識のうちに抑圧になっていたのだろうか。彼女にあいさつすることが、いつの間にか心地よくなっていた。我ながら、おかしな感情である。