「ありがとう、翼。おかげで前を向けるよ」


「僕はなにもしてません」


「たくさんしてくれたよ。……ねぇ、聞いて欲しいことがあるの」


「なんですか?」


 木村先輩の方を向くと、大きな瞳から涙が潤んでいた。