「ネックレスはもっと似合うものを僕が買いますね」


「楽しみにしているね」


 木村先輩は遠い目をして月を真っ直ぐ眺め始めた。僕も同じ月を眺めてみる。

 今まで見た、どの満月よりも完全だ。きっと、木村先輩という誰よりも大切な恋人と一緒に見ているからだろう。