「な、なにやってるんですか? 大事なものじゃないんですか?」


「もう、いらない!」


 木村先輩は先程の僕に負けないくらい力強く言うと、僕の前まで歩いてきた。

 優しい風が吹く。雲が動いて、月が顔を出した。

 今日は満月だ。月明かりが二人を照らす。