「……私だけ、立ち止まっているわけにはいかないよね」


 彼女は右手でドッグタグネックレスを掴み、思い切り引っ張った。なにかが切れた音が聞こえると、木村先輩はそのまま池に向かって振りかぶる。

 音を立てて、水面になにかが落ちた。木村先輩の動きから察するに、ドッグタグを引きちぎり池に投げ捨てたようだ。