「そうですね。善斗くんらしいです」


 彼女の言葉が僕の表情を緩め、なんだが和やかになっていく。遠くを見ながら、彼女は妙に明るく言った。


「本当に自分勝手。みんな、みんな自分勝手」


 そう、本当にみんな自分勝手だ。僕はそれで良いと思う。誰かを思いやる自分勝手が悪いとは思えない。

 込み上げてきた熱い思いを、最期になるかもしれない言葉に変えた。