木村先輩の耳に、僕の言葉は入っていないようだ。


「本当は斎藤くんと関わってはいけなかった。でも、出来なかった。自分の意志を貫く強さがなかったの。私は弱い人間なの」


「違います。弱さではありません。優しさですよ」


 僕の言葉も虚しく、木村先輩は首を大きく横に振る。