「私の好きな映画が小四の時にリバイバル上映されて、遠かったけど連れて行ってもらったの」


「先輩にとって本当に大切な場所なんですね」


 木村先輩は穏やかに言った。


「……そうね」


 母親との思い出を、懐かしんでいるようにも聞こえる。

 だが、すぐに暗くなってしまった。