「私、彼に最低なことをしたの」


 首から下げたドッグタグを、木村先輩はギュッと握ると力なく離した。

 木村先輩が言う最低なことというのは、おそらく寿命を見せたことだろう。


「そんなことないですよ。だってあの時の善斗くんは……」


 僕の言葉を遮り、彼女は続ける。