彼女は一人分くらい空けて、僕の右側に座った。缶を開ける音が聞こえてきたので、僕も開けて飲む。

 甘い。これは確かにコーヒーだが、とんでもなく甘い。この甘さが疲れた身体に染み渡る。

 ふと木村先輩を見た。長いまつ毛と高い鼻の横顔が、いつ見ても綺麗だ。この顔を見るだけで、幸せな気持ちになる。

 彼女がぷっくりした唇を缶につけた時、おかしなことに気がつく。