記号を背景に、人の姿が徐々に映されていく。僕と同じ学校の制服を着た女子生徒だ。

 うちの学校に通う生徒なら、彼女のことを知っていると言っても過言ではない。クラスメイトの名前すらあやふやな僕でもわかる。

 彼女は木村琴音だ。

 三年生の先輩で、全国レベルの学力を持っているにもかかわらず、なぜか偏差値が低いうちの学校にいる。おそらく、僕のように試験当日に体調をくず、二次募集で入ってきたのだろう。