スマホはやはり斎藤くんのものだった。サッドクロムが好きで、善斗さんが話していた男の子と名前も同じだ。

 もしやと思い、『ラスト・レクイエム』を持っていないか聞くと、彼は持っていると言った。

 あの時に沸いた感情がなんだったのだろうか。今でもわからない。運命の歯車が回る音が聞こえた。そうとしか言いようがない。