気がつくといつもの映画館に戻っていた。我に帰った私は善斗さんのことが心配になり、彼の方を向く。すると、彼は先程の私のように固まっていた。


「善斗さん……大丈夫?」


 なぜかとても疲れていて、うまく声が出せない。それでも、声を振り絞り彼の身体を揺さぶろうとした。