「今から、先輩のところへ行っていいですか?」


「え、でも夜遅いよ? 電車もないよ?」


 当然の答えだ。だが、引き下がりたくない。


「なんとかします。やっぱりご迷惑ですかね」


 常識的に考えれば、こんな時間に家に行くなど迷惑だ。それでも、木村先輩はすぐには答えなかった。