超常現象を一度経験したためだろうか。この異常事態をすんなりと受け入れていることはできたが、酷く落胆した。木村先輩にさえ聞けないため、あの教会と左腕がない女の子のことは永遠にわからないかもしれないのだ。


「もうアレについては忘れて。私のことも忘れて。私もあなたに関わりたくないの」


 最初から最後まで無表情のまま木村先輩は去っていき、僕はただ呆然と立ち尽くす。