だが、なにもしないで帰るのも、これだけ話を聞かせてくれた老人に失礼だ。


「石像の前で胸に両手を当てるだけでいいんですね?」


「はい。決まったお祈りの言葉とかもありません」


 僕は石像の方を向き、もう少し近づいた。両手を胸に当てる。そして、自分が心から望んでいることを祈った。